夜勤が終わって帰宅し、「少しだけ寝よう」とベッドに入ったら夕方。起きて食事をしたら、もう一日が終わりそうになっていた。
看護師の夜勤では、こうした過ごし方になることがあります。
せっかくの夜勤明けなのに寝て終わると、「時間を無駄にした気がする」「ほかの人はもっと有意義に過ごしているのでは」と感じることもあるでしょう。
しかし、夜勤明けは通常の休日とは条件が違います。夜間に働き続けたあとであり、まず疲労を回復させる時間が必要です。
一方で、毎回のように夜勤明けだけでなく翌日まで動けない、睡眠を取っても疲れが抜けないという状態なら、過ごし方だけではなく勤務そのものを見直したほうがよい場合もあります。
この記事では、看護師の夜勤明けが寝て終わってしまう理由と、生活リズムを崩しにくい過ごし方を整理します。
夜勤明けが「寝て終わる」のは珍しいことではない
夜勤明けに強い眠気が出るのは不自然なことではありません。
看護師の夜勤は、単に遅い時間まで起きている仕事ではないからです。
患者さんの状態観察、ナースコールへの対応、記録、点滴管理、急変への備えなど、夜間でも判断を続けなければなりません。
日本看護協会も、看護師の交代制勤務について、日によって異なる時間や昼間に睡眠を取るため、質のよい睡眠を取りにくく、疲労が蓄積・回復しにくい状況になりやすいと説明しています。
そのため、
- 帰宅したら何もする気にならない
- シャワーを浴びるだけでも面倒
- 昼まで寝るつもりが夕方まで寝てしまう
- 起きても頭がぼんやりする
- 夜勤明けに予定を入れる気になれない
といった状態になることは考えられます。
夜勤明けを日勤後の休日と同じ感覚で使おうとすると、予定どおり動けないことの方が気になってしまいます。
まずは「夜勤明け=自由に使える休日」ではなく、「勤務を終えて回復する時間も含まれている日」と考えたほうが現実的です。
なぜ夜勤明けはこんなに眠いのか
体内時計と実際の行動がずれる
人の身体には、昼間に活動し、夜に眠るための体内時計があります。
夜勤では、本来眠る時間帯に仕事をして、明るくなった時間に帰宅して眠るという逆の生活になります。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、交替制勤務は体内時計に逆らって生活することになるため、身体に負担がかかる勤務形態とされています。
「夜勤には慣れた」と感じていても、身体への負担までなくなったとは限りません。
夜勤中に十分眠れるとは限らない
夜勤に仮眠時間が設定されていても、毎回ぐっすり眠れるとは限りません。
ナースコールや急変が気になって眠れない日もあれば、忙しくて仮眠時間そのものが短くなる日もあります。
日本看護協会では、夜勤・交代制勤務の負担軽減策として、夜勤中に連続した仮眠時間を設定することや、夜勤後に十分な休息を確保することを示しています。
つまり、夜勤明けの眠気を帰宅後の過ごし方だけの問題として考えるのは適切ではありません。
勤務中にどの程度休めたかによっても、夜勤明けの状態は変わります。
身体だけでなく頭も疲れている
看護師は夜勤中にも多くの判断をしています。
限られた人数で複数の患者さんを見る時間帯では、患者さんの状態変化を見逃さないよう注意を続けなければなりません。
夜勤が終わった瞬間に、その緊張がすべてなくなるわけではありません。
「眠いのにすぐ眠れない」
「疲れているのにスマホを見続けてしまう」
ということもあります。
身体の疲労と眠気が必ずしも同じタイミングで現れるわけではないためです。
夜勤明けは何時間寝ればいい?
「夜勤明けは○時間寝れば正解」と一律に決めるのは難しいところです。
二交代制か三交代制か、夜勤中に仮眠できたか、次の勤務がいつなのかによって条件が違います。
夜勤明けに必要な睡眠時間は、夜勤中の仮眠時間や勤務形態、次の勤務までの時間によって異なります。
重要なのは、睡眠時間の数字だけではなく、
- 起きたあとに強い眠気が残っていないか
- 夜になって再び眠れるか
- 翌日まで疲労を持ち越していないか
- 次の勤務に支障が出ていないか
を見ることです。
昼間に長時間寝ると夜の睡眠に影響する人もいれば、夜勤中にほとんど休めず、まとまった睡眠が必要な人もいます。
「絶対に○時間で起きなければ」と決めるより、自分の勤務パターンと体調を見ながら調整する方が現実的です。
夜勤明けに何もできない日の過ごし方
帰宅後に予定を詰め込みすぎない
夜勤明けに、
「買い物に行って」
「部屋を掃除して」
「美容院にも行って」
「友達とも会おう」
と予定を詰めると、結局どれもできずに終わることがあります。
夜勤明けにしかできない予定を入れる場合も、必須の用事を1つ程度に絞っておくと負担を減らしやすくなります。
特に車を運転する予定がある場合は注意が必要です。
強い眠気を感じている状態で無理に行動するより、休息を優先する判断も必要です。
寝る前の食事は軽めにする
夜勤中から空腹だったため、勤務後にラーメンや揚げ物などを食べたくなることもあります。
ただ、帰宅してすぐ眠る場合、重い食事では胃腸に負担がかかります。
食事を取ってから眠るのであれば、おにぎり、うどん、スープ、豆腐など、食べやすいものを選ぶ方法があります。
「疲れているから自炊しなければ」と考える必要もありません。
夜勤の日は手間を減らすことも、生活を続けやすくする工夫の一つです。
部屋を眠りやすい環境にする
夜勤明けは外が明るいため、夜と同じ条件では眠れません。
カーテンで光を遮る、室温を調整する、スマートフォンの通知を切るなど、眠る環境を作っておくとよいでしょう。
厚生労働省の睡眠ガイドでも、交替制勤務者の睡眠対策として、光との付き合い方や夜勤中の仮眠などが挙げられています。
夜勤のたびに準備するのが面倒なら、遮光カーテンやアイマスクなどを普段から用意しておく方法もあります。
起きたあとに「何かしなければ」と考えない
14時に起きるつもりが17時になっていた。
そんな日もあります。
そこで「一日を無駄にした」と考えて、残った時間に家事や予定を詰め込むと、さらに疲れてしまいます。
食事を取る、入浴する、少し身体を動かす程度でも十分です。
夜勤明けに何をしたかより、次の勤務までにどの程度回復できたかを基準に考えたほうがよいでしょう。
寝すぎて夜に眠れない場合はどうする?
夜勤明けに夕方まで眠ると、その日の夜に眠れなくなることがあります。
その結果、
夜勤明けに長時間寝る
↓
夜に眠れない
↓
翌朝遅く起きる
↓
生活リズムが戻らない
という流れになる場合があります。
毎回このパターンになるなら、帰宅後の睡眠時間だけでなく、夜勤前や夜勤中の睡眠も含めて見直してみます。
ただし、夜勤明けの状態には個人差があります。
睡眠の問題が長く続く、強い眠気によって日常生活に支障が出るといった場合について、厚生労働省は医療機関への相談も勧めています。
「夜勤明けが寝て終わる」より気にしたいこと
問題にしたいのは、夜勤明けに寝ることそのものではありません。
むしろ、
- 夜勤明けだけでなく休日もほとんど寝ている
- 次の勤務までに疲労が回復しない
- 夜勤前からすでに身体がつらい
- 夜勤のたびに体調を崩す
- 仕事以外の予定をほとんど入れられない
という状態が続いているかどうかです。
夜勤明けに一日寝て回復し、翌日には普段どおり過ごせているのであれば、「せっかくの一日を無駄にした」と考える必要はないでしょう。
しかし、勤務のない日まで回復だけに使っている状態なら話は変わります。
過ごし方を工夫するだけでは解決しない可能性があるからです。
夜勤そのものが負担なら、働き方を変える選択肢もある
看護師だからといって、ずっと夜勤を続けなければならないわけではありません。
看護師資格を活かせる職場には、
- 外来
- クリニック
- 健診センター
- 訪問看護
- デイサービス
- 美容クリニック
- 企業
など、夜勤のない働き方もあります。
もちろん、夜勤をやめれば夜勤手当がなくなるため、収入が下がるケースもあります。
「夜勤がつらいからすぐ転職」と決める必要はありません。
まず、
- 夜勤回数を減らせないか
- 日勤中心の部署へ異動できないか
- 今の職場以外ではどんな働き方ができるか
を確認してみてもよいでしょう。
夜勤のない求人を見て、現在の給与や休日と比較するだけでも判断材料になります。
夜勤明けは「一日を使う日」ではなく「戻す日」と考えてみる
夜勤明けに寝て終わったとしても、それだけで過ごし方を失敗したことにはなりません。
夜間勤務を終えた身体にとって、睡眠や休息も必要な時間だからです。
一方で、夜勤のたびに回復まで何日もかかる、休日のほとんどを睡眠に使っているのであれば、「夜勤明けをどう過ごすか」だけでなく、「今の勤務をこのまま続けるか」まで考えてみる価値があります。
夜勤が自分に合わないと感じても、看護師そのものを辞める必要はありません。
勤務時間や職場を変えるだけで、生活の組み立て方が大きく変わることもあります。

